早いもので今年ももう11月となりました。
暑かった夏がうそのように、朝夕の寒さがめっきり秋の気配を感じさせてくれる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。GoToキャンペーンで少しずつ賑わいが戻りつつありますが、世界中が一日も早い新型コロナウィルスの収束を迎えられるますように。
今回は、日本でいちばん大切にしたい会社大賞審査委員長の坂本光司さんの書かれた「経営者のノート」(あさ出版)から、ご紹介させていただきます。
坂本光司さん
坂本さんは、徹底した現場派の経営学者で、訪問調査・アドバイスされた企業は8000社を超えると言われています。坂本さんの「日本でいちばん大切にしたい会社」は70万部のベストセラーで、第1巻にはかんてんぱぱで有名な伊那食品工業などが紹介されています。坂本さんの持論は、会社経営はその使命と責任を果たすためにあり、その使命と責任とは、会社に関わりのあるすべての人々の永遠の幸福を追求・実現すること、というものです。
以下、印象にのこりましたところを引用、紹介させていただきます。
〇経営活動には、不可能なことはほとんどない。ただ、時間がかかるだけである。
「雨垂れ石をも穿つ」という格言がある。あの小さな雨垂れでも、長い年月をかければ固い岩盤でも破壊してしまうという意味である。
企業経営におけるさまざまな問題への対処も、このことが当てはまる。
経営問題の多くは、できないのではなくやらない、できるまでやり続けない結果現象である。
〇社員を路頭に迷わせず、幸せに導く決断をするにはどうすればいいのか。
そのためには、損得や勝ち負けとは別のモノサシで決断することだ。決断しなければならない事柄を冷静に分析評価し、どうするのが正しいことなのか、正しくないことなのか、さらには、どうすることが自然なのか、不自然なのかをモノサシにして、決めるのである。お天道様に顔向けのできる決断なのかどうかで判断するのである。
〇人が集まり、育っていく、いい企業の経営者や経営幹部をみていると、そのリーダーシップの発揮の仕方が、これまでのアメとムチを使い分けるようなものとは、大きく異なってきている。
共通しているのは、業績や勝ち負けよりも、企業の真の使命と責任を果たすために、組織内の誰よりも努力し、人間味あふれる厳しさのなかに、温かさと優しさが感じられる経営が進められている。
人財は、偽りのない、真に世のため人のためになる正しい経営のなかから自然に育つ。
〇いま、企業が一番求めている人材は、知識やノウハウ、テクニックなどを身につけた人ではなく、人としての優しさや、組織の仲間のことを思いやる心、つまり利他自損の心をもった人である。
物的、経済的にはほぼ満たされた今日、優しさこそが、社会がいちばん飢え、求めているものだからである。
こうした人財になるためのいちばんよい方法は、心優しい、利他自損の心で生き、働いている人々の言動に真摯に学び、心洗われるような書物を読むことだ。人の苦しみ、悲しみ、喜びにふれて涙することだ。涙を恥じることはない。人の優しさは涙の量に比例するのだから。
〇人間は誰でも、夢と希望が見える仕事や苦労は、どんなにつらく大変でも、耐えて前へ前へと進むことができる。
だから、業種・業態、そして企業規模を問わず、企業の経営者や幹部社員は、社員に、企業の未来・夢と、社員個人の夢を明示しなければならない。企業としての未来・夢とは、企業の社会的公器としての将来ビジョンであり、また個人の夢・希望とは、社員とその家族の未来である。
コロナで、またいろいろなことがあるかもしれませんが、みんなで夢と希望をしっかりもって、幸せになれますように。今年いっぱい、また来年にむかって、しっかりすすんでいきたいと思う今日この頃でした。
参考文献 「経営者のノート」(坂本光司 あさ出版)