ドン・キホーテと安田隆夫さん

今年も早いものでもう7月。半分がすぎました。祇園祭のお囃子ももうすぐ聞こえてきそうな今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は、ドン・キホーテの創業者の安田隆夫さんの「運 ドン・キホーテ創業者の『最強の遺言』」(文春新書)から印象に残ったところをご紹介させていただきます。

ドン・キホーテと安田隆夫さん

安田隆夫さんは総合ディスカウントストアのドン・キホーテの創業者。ドン・キホーテを展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、創業から34期連続増収増益記録を更新、現在の店舗数は全世界に730店舗、従業員数9万人、売上は2兆円の企業に成長されました。

そんな安田さんですが、若いころは何をやってもうまくいかず、いつも悶々とした思いにさいなまれていて、苦難、苦闘の連続だったといわれています。大学卒業後は小さな不動産会社に就職したが、その会社は入社して10カ月後に倒産。そこから仕事にもつかず、連日徹夜マージャンをしては朝帰り、夕方にまたゴソゴソ起き出して雀荘にでかけていくという生活が続きます。さすがにこれはまずい、と30歳を目前に一念発起。東京の西荻窪に18坪の小さな雑貨屋を開店、ところがさっぱり売れず、家賃が20万円なのに売上は1万円にも届かなかったといいます。なんとかノウハウをつかみ満を持して40歳のころ、東京府中市にドン・キホーテ1号店を立ち上げるも、開業初年度は大赤字。何度もどん底に突き落とされるような経験をされます。そんな安田の立ち上げられたドン・キホーテは今、ディスカウントストア業界では勝ちまくり状態。その成功要因は一体何だったのか、考えられているうちに、「運」の存在に思い至られたと本書には記されていました。

「運」

以下、本書から印象に残りましたところを引用させていただきます。

○幸運がめぐってきたら、その運を最大化することに全力を注げ。

何回負けても絶対に致命的な大負けをせず、勝つときは大勝ちを重ねる。目の前にチャンスが転がってきたときは、がむしゃらに一点突破する気持ちで、行けるところまでとことん突き進むべきである。

○逆に不運がめぐってきたら、ひたすら耐えて守りに徹すること。

外で起きていることを、全神経を集中してじっと観察しながら、脳が擦り切れるくらい、考えに考えぬく。

○思い切った「損切り」によって「再挑戦」が可能になる。

謙虚かつ客観的に動向と事態を見つめ、辛くとも不都合な真実を認める。そして、再挑戦をくり返すことが、運を引き寄せ、大輪の成功の花を咲かせることにつながっていく。

○攻めの姿勢を大事にしなければ、決して良い運はやってこない。

当たり前のことだが、運は天から降ってこない。自ら果敢に挑戦するものだけに、盛運が訪れる。

○戦略や戦術を語る前に、まずは戦闘モードを全開にせよ。戦わなければ運は落ちる。

○未来に希望をもつ「楽観論者」の方が運に恵まれる。

楽観的に常にチャレンジを続ける「挑戦者」たれ。「俺はいけるかもしれない」という根拠のない自信のもとになりそうなものを心の中から一生懸命拾い集めて、自らの全知全能をフル動員して、少しずつ運を開花させていくのである。

○「他罰的」な思考、「他罰的」な人は、運をおとす。

「他罰的」とは、自分が置かれている境遇について、自分自身で問題を解決しようとせず、「世の中が悪い」「会社が悪い」「周囲の人が悪い」と、他人を攻撃したり罰したりして納得しようとすることである。

○「無私で真正直」が盛運をもたらす。

経営者が我欲と自我を消し去らないと、よい人材は集まってこないし、お客様の支持も得られない。結局、商売は、真正直にやるのが、一番上手く回り、一番儲かる方法なのだ。

○「個運」を「集団運」に転化させるためには、経営者の「情熱」と「人格」、従業員への「共感」と現場への「権限移譲」が大きなカギとなる。

以上、本書のなかから印象にのこりましたところを一部、ご紹介させていただきました。今回も頭ではわかっていても実行するとなるとなかなかできないものが多いですが、本書の表題の「運」になんとかあやかりたいと思った今日この頃でした。

参考文献:「運 ドン・キホーテ創業者の『最強の遺言』」(著者安田隆夫 文春新書)

 

We support the success of your dreams

お問合せ・無料相談