早いもので今年ももう11月となりました。暑かった夏がうそのように、朝夕の寒さがめっきり秋の気配を感じさせてくれる今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
10月に研究者の最高の栄誉ともいわれているノーベル賞が発表されました。日本からは生理学・医学賞に坂口志文さん、化学賞に北川進さんが受賞されました。お二人とも研究者として歩んでこられた人生は決して順風満帆ではなかったといわれています。「鈍と根で運がついてくる」「運鈍根」そんなことを大切にしてこられたというお話がありました。
今回は、買ってずっと机の上においていて最近拝読した喜多川泰さんの「運転者」(ディスカバー・トゥエンティワン)から、印象に残りましたところを引用ご紹介させていただきます。
「運転者」
本書は、中年にして歩合制の保険営業に転職した主人公が、思うように成果を上げられず、仕事でもプライベートでも苦境に立たされているところから始まります。大量の契約解約により経済的にも精神的にも追い込まれ、妻との海外旅行計画もキャンセル、娘は不登校、実家の母親からの電話も気が重くなるばかり。絶望感に包まれた主人公が「なぜ俺ばかりこんな目に遭うのか」と呟いたその瞬間、不思議なタクシーが彼の前に現れます。タクシーの運転手はただの運転手ではなく、乗客の「運」を「転」じる不思議な「運転者」で、乗客である主人公の運命を劇的に変えていくというストーリーです。
以下、そんな運転手の言葉を中心に、印象に残りましたところを引用ご紹介させていただきます。
〇運が劇的に変わる時、そんな場、というのが人生にはあるんですよ。それを捕まえられるアンテナがすべての人にあると思ってください。
そのアンテナの感度は、上機嫌のときに最大になるんです。
逆に、機嫌が悪いと、アンテナは働かない。だから、最高の運気がやってきているのに、すべての運が逃げていっちゃうんです。
上機嫌でいるというのは、楽しいことを期待するのではなく、起こることを楽しむと決めること。損得じゃなくて、興味をもつこと。
〇頑張っても報われないときは運が貯まっているんですよ。努力をしてすぐ結果が出たり、何かいいことが起こったりする人は、貯めた運を小出しに使っているだけで、他の人より取り立てて運がいいわけではないですよ。同じだけ努力をしたのに結果がでなかった人は、その分、運が貯まっていっているんです。
〇運を貯めるには、誰かの幸せのために自分の時間を使うこと。誰かの幸せのために自分の時間を使って、そのときにしてあげたことと、してもらったことの差の「運」が貯まっていきます。
〇あの人は誰よりも運がいいなぁって誰からも思われる。だけど、本人にしてみれば、使った運は、自分が貯めた運のほんの一部分でしかない。そういう生き方ってかっこいいじゃないですか。
〇ひたむきな姿勢には、他の人に幸せをもたらす力があります。
〇自分の人生にとって何がプラスで何がマイナスかなんて、それが起こっているときには誰にもわかりません。どんなことが起こっても、起こったことを、自分の人生において必要だった大切な経験にしていくこと、それが「生きる」ってことです。
自分に都合のいいことをイメージしていればそれが起こるなんてプラス思考じゃないです。本当のプラス思考というのは、自分の人生でどんなことが起こっても、それが自分の人生においてどうしても必要だから起こった大切な経験だと思えるってことです。
長い目で見たら、報われない努力なんてありません。あまりにも短い期間で結果が出ることを期待しすぎているだけです。
〇運が好転していく人生のターニングポイント、つまり、そこを起点として人生がどんどん良くなっていくポイントっていうのは、そこで何か特別なすごいことが起こるというわけではないんですよ。あとから考えれば「あそこが始まりだったな」と気づくだけです。だからもちろん何も起こらないわけではないんですが、何か特別なことが起こったようには感じられないんです。
本書で喜多川さんが言われていることは真理をついているように思いましたし、偉業を達成される方というのはやっぱり実践されているようにも思いました。ただ頭では理解できても、いざ実践してこれを継続するとなるとやはり難しいことだと思ってしまう私でした。
年末にむけて皆様の1日1日が有意義な1日でありますように。
参考文献 「運転者」(喜多川泰 ディスカバー・トゥエンティワン)


