
2025年10月に発足した高市内閣が掲げる物価高騰対策として、「ガソリン税の暫定税率廃止」があります。ガソリン税の暫定税率とはなにか、課題と今後の見通しはどうなっているのか解説していきます。
概要
現在、ガソリン(レギュラー)1リットルあたりにかかっている固定の税額は「53.8円」です。
さらに、そこに「石油石炭税(2.8円)」と「消費税(10%)」が加わるため、実際には約65円〜70円程度が税金として支払われています。
以下に詳細な内訳や、よく議論になる「二重課税」の仕組みについてわかりやすく解説します。
1. ガソリン税の内訳(1リットルあたり)
ガソリン税は、本来の税率(本則税率)に、特例で上乗せされている税率(暫定税率分)が加わっています。
| 税金の種類 | 本則税率 (本来の税額) | 特例税率 (上乗せ分※) | 合計 |
| 揮発油税(国税) | 24.3円 | 24.3円 | 48.6円 |
| 地方揮発油税(地方税) | 4.4円 | 0.8円 | 5.2円 |
| ガソリン税 合計 | 28.7円 | 25.1円 | 53.8円 |
これに加え、石油石炭税(2.8円)がかかるため、消費税がかかる前の段階で「合計 56.6円」の税金が固定で含まれています。
※特例税率(旧・暫定税率)について
表の「25.1円」の部分は、かつて道路整備のために一時的に上乗せされたものですが、現在も「当分の間税率」として維持されています。これがいわゆる「トリガー条項(価格高騰時にこの25.1円分をカットする仕組み)」の対象部分です。
2. 「二重課税(Tax on Tax)」の仕組み
ガソリン税で最も複雑で批判が多いのが消費税の計算方法です。
消費税(10%)は、ガソリンそのものの価格だけでなく、ガソリン税(53.8円)や石油石炭税を含んだ合計金額に対してかけられます。
【計算式】
(ガソリン本体価格+ガソリン税+石油石炭税)×1.10(消費税)
「税金(ガソリン税と石油石炭税)に対して、さらに税金(消費税)をかけている」ため、二重課税(Tax on Tax)であるという指摘が長年なされています。
3. 最新の動向(暫定税率の廃止議論)
2025年11月28日に与野党間で合意がなされ、ガソリンの暫定税率は2025年12月31日をもって廃止されることが、閣議決定および国会での法案成立により正式に決まりました。
これにより、ガソリン税は1リットルあたり25.1円の恒久的な減税となる見込みです。
軽油の暫定税率(17.1円/L)については、2026年4月1日に廃止される予定です。
まとめ
- 固定の税金:1リットルあたり53.8円(+石油石炭税2.8円)。
- 消費税:上記の税金を含んだ総額に10%がかかる。
- 最新の動向:2025年12月31日に廃止されることが正式に決定。ガソリン1リットルあたり25.1円の税負担が軽減される見込み。







