子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置

今回は平成31年度税制改正大綱の中の「子どもの貧困に対応するための個人住民税の非課税措置」についてお話させていただきます。

 

2015年に厚生労働省の調査で日本の子どもの貧困率が13.9%、ひとり親の場合の貧困率は50.8%と報告されています。子どもの貧困問題はここ数年で改善されつつありますが、ひとり親家庭の子どもたちは以前厳しい状況にあり、ひとり親の子どもの貧困率は先進国の中でも最悪な水準と言われています。

※貧困率・・・国民の所得が平均値にも満たない人の割合

 

では、子どもの貧困問題が社会全体にどれほどの損失を与えるか・・・

 

日本財団の調査によれば、貧困状態で育った子どもたちが納税者にならず、社会保障を受ける立場になった時、国の社会的損失は約40兆円になると言われています。また、施設に入所した子どもの理由として親の就労・経済的理由、つまり貧困により施設に入らざるを得なかったケースが年々増加しています。また最も多い理由が親の虐待です。貧困に追い詰められた親が虐待や育児放棄になるケースも多く、日頃からニュースで取り上げられるなど社会問題になっています。

 

このような問題に対応するために税制改正にて、ひとり親の住民税の非課税措置が加えられました。

 

平成31年度税制改正の大綱では・・・

子どもの貧困に対応するため、次の措置を講ずる。

  1. 児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死が明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合は除く。)を個人住民税の非課税措置の対象に加える。
  • 上記の「児童」は、父又は母と生計を一にする子で前年の総所得金額等の合計額が48万円以下であるものとする。
  • 上記の「婚姻」及び「配偶者」には、婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする。
  1. 個人住民税の申告書、給与所得者の扶養親族申告書及び給与支払事務所等について、上記1の者に該当する旨の記載をし、申告することとする等の所要の措置を講ずる。

 

適用時期は2021年以後の個人住民税について適用され、適用を受けるためには自分で申告が必要となります。

 

 

 

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