昼間は暖かい日も増え、今年も早いものでもう3月なかばとなりました。確定申告では大変お世話になりありがとうございます。この場をおかりして改めて御礼申し上げます。
今回は、SBIホールディングス㈱代表取締役社長であり、SBIグループの創始者の北尾吉孝さんの「中国古典からもらった不思議な力」(三笠書房)、「実践版 安岡正篤」(プレジデント社)から印象に残りましたところを引用ご紹介させていただきます。
北尾 吉孝さん
北尾吉孝さんは、野村証券出身で、野村証券がソフトバンクの株式公開を担当したことが縁でソフトバンク㈱の孫さんに出会い、スカウトされソフトバンク㈱の常務取締役に就任。その後、現・SBIホールディングスを設立されました。2005年のライブドアによるニッポン放送買収問題でフジテレビのホワイトナイトとして、マスコミにもとりあげられ注目されたことは、記憶に新しいところです。
そんな北尾さんが、「中国古典からもらった不思議な力」の中で、若い人から「どうして北尾さん、そんなに強くなれるのですか」と聞かれ、何かを判断するときのブレない倫理的価値観をしっかりもつことの大切さを説かれています。北尾さんは、今年の大河ドラマの主人公である渋沢栄一を非常に尊敬されていると言われ、北尾さんのブレない倫理的価値観も「論語」から学ばれた「信」「義」「仁」という三文字からきていると言われています。
決して約束を破らない、人の信頼や社会の信頼を大切にするという「信」
正しいことを行うという「義」
相手の立場にたって物事を考えるという「仁」
渋沢栄一の「論語と算盤」には、「富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。」という一節があります。
安岡正篤―天命を知るー
北尾さんは、「論語」をはじめとする中国古典のほか、安岡正篤さんから非常に影響をうけたと言われています。以下北尾さんの記された「実践版 安岡正篤」から、印象に残りましたところを引用させていただきます。
「天」という存在を認めることによって、「任天」「「任運」という考え方を持つようになりました。自分の身に起きることは、それが良いことであれ悪いことであれ、全て天の配剤だと思うようになりました。
そういう立場にたつと、何か悪いことが起きても「おまえは修業が足りないからと、天が試練を与えてくれているのだろう。この試練に打ち勝ってもう一度チャレンジしよう」と、天と自分との間の問題として、考えることができるようになりました。誰かを恨んだりしなくてよくなりましたし、失敗の責任を誰かに転嫁するような情けない真似をすることもなくなっていきました。その為、失敗してもくよくよ悩まず、すぐに頭を切り替えて挽回の手立てを考えることに気持ちが向かうようになりました。
この反対に良いことが起きれば「これは天の助けだ。ありがたい」と、謙虚になって感謝の念を抱くことが出来るようになりました。
天の存在を認めることによって、常に前向きに行動できるようになります。どんな逆境が襲ってきても、「自分がその場で出来ることを全力でやれば良い、結果は天に任せておけば良い」という心持ちでいれば、怯むことなく立ち向かえます。また、そういう気持ちで事に臨むと、うまくいく場合が多いようです
中国古典では、「天命」ということを強調します。天から自分に与えられた命を知るとは、世のため人のための志というものをしっかりと定め、日々与えられた仕事に真摯に向かって行く、仕事に意義を見出して熱意をもって取り組んでいける人物になることを指すのだと思います。その結果、どういう結果になろうとも、それが自分の天命だと思って、最終的には天に任せる。そこで尽くした努力によって自分自身は間違いなく成長しているはずであり、それが自らの生きたあかしとなります。
「易経」の繫辞上伝に「天を楽しみ、命を知る(楽天知命)。故に憂えず」とあります。天命というものに思いを馳せることによって、余分な心配や悩みを減らすことが出来、そのことがまた、難題にチャレンジする勇気を奮い立たせ、一歩を踏み出すための励ましとなってくれるのです。
今年にはいってからも、めまぐるしい環境変化が続いていますが、何とかみんなが、また日本全体が、ピンチをチャンスに変えていけますように。なかなか北尾さんのような境地に到達するのは難しいですが、NHKの大河ドラマ「青天を衝け」を見て、少しでも近づければと思う今日この頃でした。
参考文献:
「中国古典からもらった不思議な力」(著者 北尾吉孝 三笠書房)
「実践版 安岡正篤」(著者 北尾吉孝 プレジデント社)