平素は大変お世話になりありがとうございます。
今年もあっというまに4か月が過ぎました。本当にはやいですね。
今回は、ふとしたことから拝読しました伊與田 覺先生の『「人に長たる者」の人間学』(致知出版社)から印象に残りましたことをご紹介させていただきます。
伊與田 覺先生は、大正5年生まれ、学生時代より安岡正篤さんに師事され、「仮名論語」を執筆されるなど、古典の活学教育に多大なる貢献をされた方です。
昭和44年、「学校教育だけに頼ってはいかん。全人教育をやる。」と決意され、成人教学研究所を設立され、松下幸之助さんに請われて、パナソニック等の幹部社員教育、さらに中小企業の経営者の指導にも尽力されます。以下印象に残りましたところを引用させていただきます。
「人ひと知しらずして慍うらみず、亦また君くん子しならずや。」 ~孤独と不安~
「社長をやっておられる、あるいは新しい事業をはじめるというような場合、夢がありますね。
この夢を抱く者というのは共通して孤独感というものをもっておられる。
なかなかはじめから多くの人々が自分に共鳴してくれるということは容易ではありません。
大体夢をもつというような人は、心の耳の開いた人です。
普通の人にいってもわからんが、自分だけにはちゃんと聞こえている。
本人には見えているし、聞こえているんです。
けれども一般の人には話してもなかなかわかってもらえません。
だから、これは孤独ですわ。
孤独だけれども、人がわからんというても無いわけではない。
それを思い続けてずっとおるというと、それが形に現われてくるようになるんです。
そういうものが見えてくると、本気になる。
本気というのは『元の気』『元気が出る』なんて言います。
『本気』『元気』というものがあれば、これは継続します。
人がなんといおうとも、自分にはちゃんとその存在がわかっておりますから。」
祈りとは何ぞや。思うことである。そのことを思い続けること。1万回。もし1日に1回そのことを思うたら、何年になるか。大体27年かかる。1日に3回思うたら9年ぐらい、1日に10回思うたら3年近くかかる。
『石の上にも3年』という言葉もあります。
そうするとそれが形に現われてくるようになる。
ちょっと形に現われてくるようになると、人はこれを信用するようになります。
何かしるしが出てくると『あっ、やっぱりこれは現実だな』となる。
多くの協力も得られるようになります。
内側にあって外に現われないが、しかし隠れたる努力というものが、これを導きだしていきます。そのことを、松下幸之助さんはいっております」
小さなことに一喜一憂するのではなく、そんな力をを何とか味方につけたいと思う今日この頃でした。
参考文献:『「人に長たる者」の人間学』 著者 伊與田 覺(致知出版社)