「京セラフィロソフィ」(稲盛和夫 著)より

今年ももう9月となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今年の夏も厳しい暑さでした。また地震や豪雨、京都は幸いにして何事もありませんでしたが、被災されました皆様方には心よりお見舞い申し上げます。

今回は、稲盛さんの「京セラフィロソフィ」((サンマーク出版)の中から「仲間のために尽くす」というところを抜粋、引用させていただきます。

「仲間のために尽くす」

人の行いの中で最も美しく尊いものは、人のために何かをしてあげるという行為です。 人はふつう、まず自分のことを第一に考えがちですが、実は誰でも人の役に立ち、喜ばれることを最高の幸せとする心をもっています。人間の本性とは美しいものなのです。

私たちは、仲間のために尽くすという同志としてのつながりをもってみんなのために努力を惜しまなかったからこそ、すばらしい集団を築くことができたのです。

私は事あるごとに「世のため人のために尽くすことが人間として最高の行為である」と言っています。この「仲間のために」ということは「世のため人のために」尽くすという ことに比べると狭い範囲の利他行ではありますが、たいへん大事なことなのです。

世のため人のために、仲間のために尽くすということは美しい心が行うものであり、また、それを行うことによってその人の心はさらに美しく、かつ純粋になっていきます。つまり、人格を向上させていくために、たいへん大事な行為であるわけです。

このことは仏教で言う「利他行」にあたります。仏教では、他人のために尽くすという 利他の行為をたいへん大切にします。利他を積むことが悟りへの道だとお釈迦様は説いておられるのです。

また、「仲間のために尽くす」ということは、京セラのアメーバ経営の基盤を形成しています。京セラでは、初期のころからアメーバという小集団による独立採算制を敷いてきました。

事業部別の独立採算制を採用している場合、問題となってくることがあります。

例えば、いくつかの事業部に分け、それぞれ独立採算で見ていくと、一つの事業部は大きな利益が出たけれども、一つの事業部は赤字を出したというように、収益がアンバランスになるケースが発生します。その場合に成果配分をどうするのかという問題です。

一般には、収益のたくさん出た部門の人たちにボーナスを出したり、高い給与を払ったりしているのかもしれません。つまり、成果に従って利益配分を行うわけです。

しかし、京セラでは、あるアメーバが業績に貢献し、会社全体の牽引役となって仲間のために貢献したとしても、給料、ボーナスなどで物質的に報いることはしていません。その集団に与えられるのは賞賛と賛辞だけなのです。

人からは「そんなことで、社員がよく納得しますね」と、常に不思議がられてきました。 ですが、「代償を求めず仲間のために尽くすことが人間として一番大切である」と私が創業の時からずっと説いてきたので、京セラの社員はたとえ自分の事業部が利益を出したからといって、「ボーナスを余計にくれ。給料をもっと上げてくれ」とは、誰も言いません。

これは人間の心理も考えてのことです。

一方で、万年うまくいかなくて意気消沈している事業部がある。また一方では、会社を引っ張ってくれると期待していた事業部まで低迷しだして、人間関係が崩れていく。そんなことがおこらないともかぎらず、おこったときには、会社全体が悲惨な状態になってしまいます。つまり、会社の業績がアップ・アンド・ ダウンを繰り返すように、人の心も決して安定したものではないのです。

よくがんばってくれたところには賞賛を与え、周囲の従業員も「君たちががんばってくれたから、会社がうまくいって、自分たちもボーナスをもらえるのだ」といって感謝する。 私はそのように、好業績に報いる方法として、名誉だけを与えるという形をとってきました。

それは、みんなで努力をし、みんなで物心両面の幸福を実現しようと考えたからです。 そのためにも、創業の時から「仲間のために尽くす」ことの重要性を強く説いてきたのです。京セラでは、小集団の組織であるアメーバを経営の単位としていますが、そこでは誰もが自分の意見を言い、経営を考え、それに参画することができます。

一握りの人だけで経営が行われるのではなく、全員が参加するというところにその神髄があるのです。この経営への参加を通じて一人一人の自己実現が図られ、全員の力が一つの方向にそろったときに集団としての目標達成へとつながっていきます。

全員参加の精神は、私たちが日頃のひらかれた人間関係や仲間意識、家族意識をつちかう場として、仕事と同じように大切にしてきた会社行事やコンパなどにも受けつがれています。

一般的に、企業の盛衰を決めるのは、目に見える財務力や技術力、また企業戦略であると言われています。それも大事だとは思いますが、それ以上に大切なのは、目に見えない社員の意識であり、その集合体である組織風土や企業文化だと私は考えています。

以上、抜粋引用です。人が最も幸せを感じる瞬間というのは、誰かのために何かをしてあげられたとき、役にたったという実感がもてたときだと言われています。それはまず家族のためにということがあるでしょうし、職場でも同じではないかと思います。組織の風土や文化の大切さをあらためて学ばせてもらった今日この頃でした。

     参考文献 「京セラフィロソフィ」 著者 稲盛和夫(サンマーク出版)

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