古森重隆さんの「魂の経営」

新年あけましておめでとうございます。皆様旧年中は大変お世話になりました。

心より御礼申し上げます。今年一年が皆様にとって素晴らしい一年でありますように。今年一年どうかよろしくお願いいたします。

今回は、年末に拝読しました、ちょっと古くて2013年に富士フィルムホールディングス代表取締役会長兼CEOの古森重隆さんがかかれた「魂の経営」(東洋経済新報社)から、印象に残りましたところをご紹介させていただきます。

 

「古森重隆さん」

古森さんは、1963年当時の富士写真フィルムに入社、2000年に社長に、2003年にCEOに就任されます。古森さんが社長に就任された2000年に、当時の富士フィルムの主力事業だった写真フィルムの需要がピークを迎えていました。そのあとの10年間でデジタルカメラの急激な普及により、写真フィルムの市場は1/10にまで落ち込むことになります。それまでドル箱だった写真フィルム事業が、わずか4、5年で赤字事業に転落していきます。そんな中で社長に就任された古森さんは、CEO就任を期に、「第二の創業」と銘うって、大胆なM&A、リストラをともなう事業構造の改革、転換を断行していかれます。富士フィルムという会社が21世紀を通じてリーディングカンパニーとして生き続けていくために。

結果、2007年の富士フィルムホールディングスの業績は、売上は2000年の約2倍の2兆8468億円、営業利益は2073億円と過去最高益を達成。世界の写真フィルム業界の巨人といわれていたコダック社が構造転換改革に失敗し2012年に経営破綻したのとは対照的です。本書はこのような改革に全身全霊を懸けられた古森さんの経営について自らが記されたものです。

以下、本書から印象に残りましたところを引用、紹介させていただきます。

 

「有事に際して経営者がやるべきこと」

◇企業の存亡の危機に際して、改革に反対する社員はいなかったし、もしいたとしても、やらなければならないことを躊躇する要因にはならない。ビジネスもある意味、勝つか負けるかの戦争であるが、どこの世界に、個々の作戦遂行にあたって、兵隊一人ひとりの考えを慮って戦う指揮官がいるのか。やらなければならないことの優先順位を決めて、たとえ既得権益が絡んで反対派が大勢いるような場合であっても、プライオリティの高い事項の意思決定を先送りすることはできない。プロセスに沿って意思決定を確認し、会社をどこへ導いていくのかという選択を委ねられているのがリーダーだ。そのリーダーの意思を組織のすみずみにまで伝播させ、危機感を共有し、社員一人ひとりに強い自覚を持たさなければならない。

 

◇ギリギリまで悩み抜いても、結論がでないこともあった。どっちにもはっきりとした優位性が見えない。そんなときにはどうすればいいのか。もしまだ時間に余裕があるのであれば、時間を置いてみることだ。そうすると、潜在意識が解決してくれることがある。では、時間が残されていないときはどうすればいいか。そんなときは、こう思うことにした。「これだけ迷うということは、どちらを選択しても、実は大して変わりはないんじゃないか。どちらも正しいのかもしれない」。決断すべきときがきたら、たとえまだ迷っていたとしても、決断する。迷いに迷って決断を先送りしても、何も進まない。そして決断したなら、どちらを選んだとしても、そこから必死で努力して、自分で決めたことを成功に結びつければいい。

 

<勝ち残るための力>

◇何事にも勝たなければならないし、勝つためには強くなければならない。しかし、ただ強い、ただ勝つことには意味がない。リーダーなら、誰かのために勝つべきであり、そのために強くあるべきだ。国のため、組織のため、家族のため、大義のため。大義とは、大きな意義、あるいは卓越した価値のことである。そうした大切なものを守るための強さこそ本当の強さであり、意味のある勝ちに結びつく。自分のことしか考えない人の強さに意味を見出すことはできないし、仮にその人が勝ちを収めたとしても、それは決して長続きしない。

 

「成長を続けるための働き方」

◇仕事で伸びるか伸びないかは、その人のもともと持っている能力だけで決まるわけではない。それよりも大きいのは、仕事に向き合う姿勢の差であり、その組織に対する思いの差であり、どれだけ誠実に頑張って取り組んだかどうかにかかってくる。どれだけ頭で考えても見えてこないものがある。しかし、一途に一生懸命何かに取り組んでいけば、何か見えてくるものなのだ。そして、その見えてくるものが真実である。その中に真の学びがあり成長があるものである。

 

 

働き方改革、少子化、AIやロボット、自動化など、私たちを取り巻く環境は急激に変化していっていますが、しっかり対応して、みんなにとって良い年にしたいと思いました。

今年はいよいよ東京オリンピック。今年がまた皆さまにとって大いなる希望であふれる一年となりますように。

 

(参考文献 「魂の経営」 著者 古森重隆 東洋経済新報社)

 

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