中井俊己さん「ぽっと心に明かりがともる28の物語」 

今年も早いものでもう7月。半分が過ぎました。祇園祭のお囃子ももうすぐ聞こえてきそうな今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回は知人から紹介されて最近読んだ「ぽっと心に明かりがともる28の物語」(著者:中井俊己 ごま書房新社)からご紹介させていただきます。

 

「ぽっと心に明かりがともる28の物語」 

本書の著者中井俊己さんは、私立小・中学校の教師を15年前に退職され、メルマガ「心の糧・きっとよくなる!いい言葉」を以来15年間毎週発行され、読んでくれた人の心に、幸せをもたらす何かよいもの-心の糧-を残そうと、その人の明るい未来を開いていく糧になればと願われ活動されている方です。メルマガに加筆修正を加えられて出版された書籍も多数、本書もその中の一冊です。以下印象に残りましたところを引用、ご紹介させていただきます。

 

「希望があれば見えるものも変わる」-ある病院での物語-

ある病院に勤めている方から聞かれた話ということです。

『寝たきりで首も動かせない男性が病室に運びこまれたとき、もう一人の患者が窓際のベッドに横たわっていました。

お互いに親しくなると、窓際の患者は窓から外をながめて、もう一人の首も動かせず天井しかみることのできない患者にむかって、外の世界についてくわしい話をしだしました。

「今日はいい天気ですよー。青空にぽっかり雲が浮かんでいます。向かいにある公園の桜が咲き始めたところですよ」

別の日には、

「今日は風が強い日ですから、木の葉が揺れて、まるでダンスをおどっているようですよー」

などと、寝たきりで首さえ動かせない彼に語って聞かせてあげたのです。

 

彼は窓際の男性が語るその光景を想像することで、毎日毎日、心が慰められました。そして、ああ自分も外の世界が見えるように早く病気を治そうと思うのでした。

 

しばらくして、窓際の男性は退院することになりました。

もう一人の男性は喜びました。

「やった。これで、自分が外の世界を見ることができる。これからは、自分が窓の外の世界を見て新入りの患者に話して聞かせてやろう」

看護師にベッドを窓際に移すように頼むと、すぐに聞き入れてくれました。

 

しかし、心躍らせて窓の外に目をやった彼は、愕然としました。窓はコンクリートの壁に面しており、外の世界など何も見えなかったのです。

 

それから彼は考えます。元、窓際の男性は、いったい何を見ていたのでしょう。彼の目が見ていたのは灰色の壁でした。しかし、想像の力で、その向こうにあるものを見ようとしていたのです。そして、ただ天井を見ることしかできず、いつも辛そうにしているルームメイトのために、自分の思い描いた壁の向こうの世界を話して聞かせてくれていたのです。

 

同じ壁を見て、ある人はその壁だけを見ます。別の人はその先にある「希望」を見ます。状況は同じであっても、見方によって見えるものは違います。辛い困難な状況にいるとき、物事の暗い面だけを見てしまいがちです。しかし、少し前向きに、積極的な見方をすることによって、明るい局面を見ることができるのです。そして、見えてきた希望を、まわりの人にも語り、沈んでいる人を元気づけてあげることもできるでしょう。

 

壁の向こうにも、雲の上にも、光は輝いています。暗い夜の先には、明るい朝が待っています。希望はいつでもあるのです。』

 

どんな状況になろうとも、見方や考え方を、ちょっとかえてみることによって、希望をみることができる、元気をだして、道を拓いていけるという、とても元気をもらえた話でした。そして、令和になり、今年も後半戦がんばろうと思う今日この頃でした。

 

参考文献 「ぽっと心に明かりがともる28の物語」

(著者:中井俊己 ごま書房新社)

 

 

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