消費増税に向けた経営対応策の概要

消費税率10%への引上げと軽減税率の導入が、令和元年10月1日に実施されます。

事業者等にとって軽減税率の導入は、税務の問題にとどまらず請求書の発行や

会計システム・レジシステムの変更、従業員教育など多くの検討課題があります。

このいくつかの検討課題のなかで今回は、従業員教育に絞って記載してみました。

 

〇 従業員が知っておくべきこととは?

  • 軽減税率について
  • 領収証・請求書の注意点
  • キャッシュレス決済の対応について
  • 経費精算での留意点

 

1 軽減税率について

軽減税率の導入により主に飲食料品を取り扱う農業・漁業・卸小売業・食品製造・

外食などの事業者が影響を受け、それ以外の業種でも生鮮食料品、新聞を購入した

場合に影響がでますので、従業員は概ね知っておく必要があります。

対象品目は、飲食料品(酒類、外食を除く)、新聞に大別されます。

 

・対象となる飲食料品

食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類及び外食サービスは除く)

飲食料品と飲食料品以外の資産が一体となっている“一体商品”については、

一定金額以下の少額資産で主たる部分が飲食料品であるものに限り対象とされます。

(例 おもちゃ付菓子、ティーカップと紅茶セット等)

 

・対象となる新聞

定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞

(一定の題号を用い政治・経済・社会・文化等に関する一般的社会事実を掲載するもの)

2 領収証・請求書の注意点

令和5年(2023年)10月にインボイス方式(適格請求書等保存方式)が導入

されると、適格請求書発行事業者登録制度が創設されますので、登録事業者は

適格請求書の交付・保存が義務付けられます。

“適格請求書”の交付が受けられない、交付を受けたのに紛失した等の場合、

仕入税額控除が受けられなくなりますので、創設時期はまだ先とはなりますが

従業員への周知徹底が必要となります。

・原則として“適格請求書発行事業者”から交付を受けた“適格請求書”又は

“適格簡易請求書”の保存が仕入税額控除の要件となる。

・免税事業者や適格請求書等発行に対応ができない小規模事業者からの購入に

ついては、仕入税額控除ができなくなる。

(一定期間は免税事業者等からの課税仕入れについても一部仕入税額控除が可能ですが、

全額仕入税額控除できるわけではありません。)

3 キャッシュレス決済の対応について

令和元年10月1日からの“キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)”

実施にあたり、店舗に新たにキャッシュレス決済を導入した場合など、レジ対応が

スムーズに行えるように端末の操作や消費者への対応などの研修が必要となります。

4 経費精算での留意点

令和5年(2023年)インボイス制度導入後は、免税事業者からの課税仕入れに

関して、次の点に留意したルール策定が必要となります。

・個人タクシーの利用

・個人商店からの仕入

・個人が営業する店舗での飲食

・店舗・ガレージの賃借

・個人事業者への外注  など

 

次に会社の慰安行事を実施した場合を例に取り、複数の税率が混在したり、

適格請求書の発行についての確認をする必要が出てきたりします。

・電車に乗って駅まで集合(電車代は10%)

・途中で屋台にて焼き鳥を買う

(軽減税率8%、インボイスが発行されなければ仕入税額控除 不可)

・コンビニで飲み物と紙コップとつまみを買う

(ソフトドリンクとつまみは軽減税率8%、アルコールと紙コップは10%)

・帰りに雨が降り出したのでタクシーに乗る

(10% インボイスが発行されるか確認 要)

・二次会はスナックへ

(10% インボイスが発行されるか確認 要)

 

このように、“税率10%”“軽減税率8%”“仕入税額控除不可”などが混在することに

なりますので、これらを従業員に周知徹底せることが必要となります。

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