役員報酬の減額をするための注意点

役員報酬の減額は、事業年度開始日から3か月以内に株主総会にて決定し原則としてその事業年度の決算月まで同額を支給しなければ税務上、損金算入が認められません。

しかし、著しい業績不振等から期中において、株主や債権者、取引先等との関係上、役員報酬を減額せざるを得なくなった場合、要件を満たせば減額が認められます。

 

1.定期同額給与を減額した場合

例えば、12月決算法人が2月末の定時株主総会において、毎月支給する役員給与の額を100万円と決定し、3月から支給していたが8月から50万円に減額改定した場合、原則として減額後の50万円が当初から支給されたものとみなされます。

この場合、すでに支給済の改定前の100万円と改定後の50万円の差額50万円の5か月分が損金の額に算入されません。

 

2.事前確定届出給与

事前に届け出た支給額を減額した場合は支給額の全額が損金の額に算入されません。

定時株主総会等で、役員給与を決定する際には予測できなかった事由が発生したことによって、役員給与を減額改定せざるを得ない場合があります。

次のような「やむを得ない事情」がある場合は減額前と減額後の役員給与について損金算入が認められます。

 

(1)役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更、その他これらに類するやむを得ない事情があった場合(臨時改定事由)

例えば、「取締役から監査役」「常勤から非常勤」などの地位の変更や、病気のため入院が必要となり、当初予定されていた職務の執行が一部出来ない状態になった場合などが「やむを得ない事情」にあたります。

 

(2)経営状況が著しく悪化したことのそのほかこれに類する理由があった場合(業績悪化改定事由)

例えば、取引銀行との借入金返済のリスケジュールにおいて減額せざるを得ない場合や、主力製品に瑕疵がある事が判明し、以降多額の損害賠償やリコール費用の支出がさけられない場合などがあります。

 

上記(1)(2)により役員報酬を減額した場合は、その経緯を説明できる資料や手続きに関する書類等(株主総会議事録、経営改善計画など)を作成し、保存しておくことが必要です。

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